令和6年第4回定例会 小林たかや一般質問 と 回答
令和6年第4回定例会にあたり、千代田区議会自由民主党として一般質問をいたします。まず、
官製談合防止法違反再発防止検討報告書の正当性について
お伺いいたします。第3回定例会の予算・決算特別委員会において、政策経営部法務担当課長は、第三者委員 会と有識者会議の違いについて、次のように答弁いたしました。
「第三者委員会は違法事案が発生した際にその調査を行うために設置され、第三者の弁護 士や専門家のみで構成し調査を進めるものです。 一方、有識者会議は第三者に加えて当事者、ここでは千代田区の職員も交え、調査終了後 に再発防止策などを議論する場であると認識しています。 今回の入札談合事件に関しては、警察が捜査を尽くした後ですので、第三者委員会ではなく有識者会議を設置し、再発防止策を検討することにしました。」
千代田区では2月7日に「千代田区入札不正行為に関する再発防止有識者会議」を設置し ました。 なお、千代田区に関する警察の捜査は、千代田会館10階の撤収時点、3月29日で終了 しています。 また、警察の捜査は、元職員の判決が確定した6月13日及び元区議会議員の判決が確定 した7月16日をもって完全に終了しております。 したがって、政策経営部法務担当課長の答弁中の「警察の捜査を尽くした後」という説明 には時期的に誤りがあります。 有識者会議の設置が2月7日であることを踏まえると、警察の捜査の真っ最中にもかかわらず、早々と有識者会議を作ったというのが事実です。 第三者委員会を設置せず、有識者会議のみで対処した理由にはなりません。
有識者会議である2人の弁護士は、対象事案に関して利害関係を持たないことが求められます。
ここで言う利害関係とは、対象事案に関して、相談や意見照会を受けて助言を行ったり、 自らの認識や見解を示したりした場合を示します。
そのため、この2人が委員を務める有識者会議は、第三者委員会として代替してはいけないし、適切とも言えません。
前提に矛盾があると考えられます。 これにより、官製談合防止違反再発防止検討報告書の正当性にも疑問が生じます。
以上の事実を区長はどのように受け止めているのか、御説明ください。この誤りを受け、
再度、第三者委員会を設置し、検証をやり直すべき
ではないでしょうか。 改めて区長の御見解をお伺いいたします。
次に、
不登校対策としての居場所づくりについて
お伺いいたします。 令和5年度、不登校の小中高校生数は34万6000人を超え、過去最多となりました。 そのうち約4割の子供が、学校内外で専門家による相談や支援を受けられず、学習できない状況にあります。 このような子供たちが安心して過ごし、学べる居場所を早急に整備することが求められます。
千代田区では、不登校児童・生徒への支援策として、下記の4つの柱を掲げています。
①校内教育支援センター・スペシャルサポートルーム(SSR)
②適応指導教室「はくちょう教室」
③VLP(バーチャル・ラーニング・プラットフォーム)
④フリースクール
これらの支援がどのように機能しているのか、不登校児童・生徒の実態に関する具体的な 数値や調査状況についてお示しください。
第2回定例会で、5月までの状況について答弁がありました。 改めて下記の点を確認いたします。
スペシャルサポートルーム。
利用者数や利用状況の把握が課題でした。 現在はどうなっていますか。 必要な備品や人材配置、モデル校の特定と他校への展開状況についてお答えください。 利用しやすくなったのでしょうか。
適応指導教室「はくちょう教室」。
移転前のスペース問題は解消され、指導員の増員により環境が改善しましたが、現在の利 用状況と新たな課題をお答えください。
バーチャル・ラーニング・プラットフォーム。
6月時点の利用者は2名でした。 その後の利用状況はどうなりましたか。 利用者を増やす取組はどのように実施しているのでしょうか。 メタバース空間の活用やオンラインフリースクールとしての展開状況について、御見解を お答えください。
フリースクール。
3月に民間フリースクールと連絡協議会が開催されましたが、連携強化や課題解決の進展 はありますか。 区としての取組はどうなっているのかお答えください。
さらに、不登校支援の新たな選択肢として、
夜間中学との協働
について質問いたします。
夜間中学は、戦後、生活困窮者で昼間に働く必要があった子供たちに義務教育の機会を提 供する場として設立されました。 現在では、義務教育を受けられなかった人や日本で義務教育を修了していない外国籍の方 が利用しています。 また、不登校などの理由で十分な公教育を受けられなかった形式卒業者も入学可能です。 2019年には、文部科学省から不登校の子供たちを受け入れることが可能であるとの通 知が出され、夜間中学校に新たな役割が期待されています。 不登校生が夜間中学校を利用するメリットとして、長期的に不登校だった子供たちは少人 数で手厚い学習サポートが受けられながら学べること。 起立性調節障害などの昼間に学習が難しい子供たちにも適した学習時間を提供できること。 公立のため無料で利用ができ、家庭の経済状況に関係なく学べる等々です。 千代田区の現状と展開について。 千代田区には通信制中学(千代田区立神田一橋中学校)があり、高齢者の学びの場として 機能していますが、存続が厳しい状況にあります。 対象年齢の引き下げなどが検討されていますが、2025年度も通信制中学校の存続が決まりました。 この機会に夜間中学を設置すれば、中高生の学びの場を確保し、新たな居場所として役割を果たせる可能性があります。 教育長の御見解をお聞かせください。
最後に、
落書き・タギング・張り紙防止に対する再認識と新たな対策について
お伺いいたします。 最近、区域での落書きが急増し、地域の悪化が懸念されます。 ここ2年間でその傾向が顕著になり、不審者の目撃も増えたことで、地域の安全性に対して不安が高まっています。 先日、神田三崎町のお住まいの方より、下記のような落書きに関する苦情が寄せられまし た。
落書きの急増と対策。
神田消防署三崎町出張所の建物敷地内のトランスボックスや周辺のタイムズ駐車場に大規 模な落書きが見られましたが、消防署自体、これを把握していないようです。 消防署職員の対応も問題で、「最近できたものですね」といった感じ、軽い反応で防犯意識 や地域への気配りが不足していると感じました。 落書きの広がりは思った以上に広範に広がっており、対策が急務です。 関係機関との連絡と行政の役割について、個人の多機関への連絡の困難さがあります。 消防署だけでなく郵便局、警察署、千代田区、駐車場運営会社(タイムズ)など、多くの 機関に連絡する必要があり、個人で対応するのは限界を感じています。 タイムズの壁は日本郵便輸送の所有ということが判明し、先方で被害届を出した上で対処 するとのことでした。 行政のリーダーシップの必要性。 こうした問題は行政が統括し、迅速かつ包括的な対応を行うべきです。 地域の防犯環境への懸念、夜間の不安、人通りの少ない通りでは暗さから不安を感じます。 また、外国人が電柱の下で長時間立っているのを目撃し、麻薬売買を疑う場面もあったと いうことです。
防犯カメラの活用。
設置済み防犯カメラの映像を活用し、落書き犯の特定と逮捕を進めるべきです。 落書きの放置がもたらす影響は、落書きは放置することで地域の治安がさらに悪化する恐れがあります。 最近の逮捕事例で、犯人を検挙することで治安が改善され、抑止効果も期待できるとの報 告もあります。 落書きの削除や犯人の特定と逮捕に向けた対処に迅速的に対応し、治安悪化を防ぐための取組を強化してほしい。 また、地域住民の声を受け、行政が主導して関係機関と連携した総合的な対策を講じてほしいというものでした。
区民の不安はもっともなことです。 落書きがどういった問題を引き起こすか再認識し、具体的な対策を講じる必要があります。 区民からの苦情を聞き、ここまでの区の御見解をお示しください。
落書きとは、許可を得ずに建物や公共の私有物の表面に文字や絵、記号などを描く行為を 指します。これは下記の種類が含まれます。
タギング(Tagging)、
短時間で描く個人やグループの識別を目的とした署名やロゴ 的な記号。
グラフィティ(Graffiti)、
アートの要素も含む視覚的インパクトを狙った複雑な デザインや文字列。
スクリビリング(Scribbling)、
意図が曖昧な乱雑な書き込み。
生活環境条例におきまして、落書きの規定があり、対策してきたはずです。 しかし、電柱、トランスボックス、ガードレール、掲示板や交通標識への落書きやシール が、地域の防犯力の弱いところを狙って貼られ、放置されている現状は前と全く変わって いません。 千代田区はむしろ、悪化の一途をたどっています。 最近、区内の広範囲で落書きの被害が急増しています。 かつて対策を施した「いいだべえ」も34年が経過し、再改修が急務です。 さらに、被害は神田三崎町や水道橋、神保町にも拡がり、水道橋駅から御茶ノ水駅の塀に も新しい落書きが散見されます。 このままでは落書きの被害に比例して治安がさらに悪化し、手遅れになる可能性がありま す。 千代田区でも落書き対策として、特殊塗料を街路灯の柱に塗布したエンボス加工を施して、 タギングシールが貼られないように工夫しています。 しかし、スプレー等の落書きには全く効果はありません。 水道橋駅近くの塀には、絵画の作成を施し、落書きの防止にひと役買っていますが、限定 的です。 「いいだべえ」のように、かつて、まちぐるみで対策した大作も維持管理ができていない のは残念でなりません。 平成19年第2回定例会、平成30年第3回定例会において、都市景観や防犯意識の低下 を招く落書き防止について取り上げましたが、落書きの被害は17年経っても変わらず、 依然として減少どころか増加しています。 具体的な現状と新たに対策の必要性があります。 被害の拡大。 神田三崎町や水道橋、神保町などで広範囲にわたる被害が散見され、再対策が急務です。 他区での取組。 新宿区や渋谷区は、落書き消去や壁画作成キャンペーンが行われ、地域住民や企業、学校が協力しています。
歌舞伎町では、JRの壁に壁画を描いて落書きを防いでも、対策を施していない壁には新 たな落書きが描かれてしまいます。
ここで質問します。
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千代田区内における落書きの被害の現状や、区管理施設への被害が発生した際の対策の方 針についてお答えください。
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検挙に勝る防犯なしと言われます。 警察と連携し、落書き犯の特定と検挙に全力を挙げているのでしょうか。 お答えください。
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新宿の歌舞伎町アートプロジェクトのような取組を地元小中学校、地元大学と進めてはい かがでしょうか。 また、地域有志を募り、秋葉原などではアニメを描く等、地域性を生かした対策をすることで、いつでも見ている人がいる環境をつくったらいかがでしょうか。
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「いいだべえ」は、早急に改修をしてはどうでしょうか。
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水道橋駅から御茶ノ水駅の壁の落書きを削除し、絵画を描くことで防止策を講じるべきで はないでしょうか。
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千代田区のホームページでは落書き対策について触れられていません。 他の自治体では、港区のように落書き対策に関する案内を掲載しているところがほとんど です。 千代田区でも落書き対策専用のホームページを作成してはどうでしょうか。
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千代田区が落書き対策の総合調整者として、東京都、警察・消防と連携し、地域住民や事 業所、学校、ボランティア団体とともに落書き防止に向けた具体的な取組を主導して、総合的な対策を講じるべきと考えますが、この点についての御見解をお願いいたします。
以上、区長、並びに教育長、関係理事者の明快な答弁を求め、質問といたします。
教育担当部長/
小林議員の不登校対策としての居場所づくりについての御質問にお答えします。
はじめに、
不登校支援機関
についてですが、御指摘の4つの柱が、それぞれの目的に即して機能し始めているところであり、今後、さらに取組を推進していくことが必要であると 考えております。 次に、
不登校者数とその調査
についてです。 令和6年10月末現在の不登校児童・生徒数は、小学校20名、中学校33名、合計53 名です。 昨年の同時期と比較して7名の減少となっています。 不登校については、各学校は毎月、児童・生徒一人一人の状況について把握し、区と情報 を共有しております。 次に、
4つの不登校対策
についてです。 「スペシャルサポートルーム」は、全校に設置し、専門スタッフを配置して運用している ところですが、各校では、複数名の児童・生徒が利用しており、教室に入ることに抵抗がある場合や、クールダウンが必要になった際などの居場所となっております。 今後、備品などを随時配置していくとともに、モデル校を指定し、その取組を他校へ広げ、 児童・生徒にとって、さらに利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。 適応指導教室「はくちょう教室」については、令和6年10月末現在の登録者数が、小・ 中学校で32名と、昨年の同時期と比較して5名増加しております。 昨年度と比べ、小学生の利用数が大幅に増加しています。 中には、人との関わりに困り感を抱いて、集団生活へ適応できないことにより不登校となった児童もおり、個に応じた支援が必要となっていることから、指導員のさらなる増員や 指導体制の再構築が新たな課題となっているところです。 バーチャル・ラーニング・プラットフォームは、9月に新たにアカウントを付与し、現在、 30名の児童・生徒が所持しておりますが、実際の利用者は4名程度と、まだ少ない状況 で、課題と捉えています。引き続き、児童・生徒が興味をもち、利用しやすいものとなるよう検討してまいります。 オンラインフリースクールとしての展開については、東京都の所管する本事業とは目的が 異なることから難しいと考えています。 フリースクールなど民間施設との連携については、教育委員会と区内4つの施設の代表者 との連絡会を開催し、包括的な支援体制について協議を行っております。 今後、学校との連携へと広げられるよう、引き続き、協議を重ねてまいります。 最
後に、夜間中学の設置についてですが、都内には既にあるため、千代田区での設置は考 えておりません。 本区で取り組んでいる不登校対策のさらなる充実・推進を図り、児童・生徒の学びの場の 確保に努めてまいります。
地域振興部長/
小林議員の、落書き・タギング対策についての御質問にお答えいたします。
被害状況や区管理施設での被害発生時の対応についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、区内の繁華街等ではあちこちで落書き等やステッカーの貼付が散見され ます。 区では、壁や道路標識等への落書き等の通報を受ければ、その都度、対応しております。 しかしながら、消したり、剥がしたりしても再び描かれる、貼られるといった現象が起きていることも認識してございます。 また、区以外が管理する物件の被害にあっては、当該所有者に情報提供しております。
警察と連携した犯人特定についてのお尋ねがございました。
区の管理物件についてはできる限り、落書きを消す等の努力をしておりますが、悪質なものは、管轄警察に事件相談等をしてございます。
アートプロジェクトのような仕掛け、地域特性を生かした対策、地域や学生との連携、「い いだべえ」の再改修、水道橋駅から御茶ノ水駅の間の落書きへの対応についてのお尋ねが ございました。
落書きへの対応といたしましては、議員もご紹介いただきました、大学生ボランティアの 協力を得て、昨年、水道橋高架下で壁画アートに取り組みました。 管理者や地域の同意が必要ですが、歌舞伎町の事例なども参考に、今後も研究してまいり ます。
落書き等の対策をウェブサイトに掲載することについてのお尋ねがございました。
現在、生活環境条例の禁止事項として落書きについて掲載しているほか、警察署等と連携 した落書き等に対する取組の実施について、区のウェブサイトに掲載をしてございます。 落書き等に対する注意喚起などについて取りまとめたページはございませんが、今後、落書き等に関する区の考え方などをお示ししながら、掲載について検討してまいります。
落書き等の対策の総合調整についてのお尋ねがございました。
落書き、タギング等をそのまま放置していれば、まちの景観も悪くなり、安全・安心に対 する懸念を抱かせる要因になると認識しております。 そこで区では、昨年から年1回、警察と合同で、区内4警察署のそれぞれの管轄内で散見される落書き消しやステッカー剥しなど、環境浄化活動に取り組み始めました。 本年も6月に、麹町警察署管内で、JR職員、地元住民と飯田橋駅周辺の落書き消し、ス テッカー剥がしを行い、今月25日には万世橋警察管内で、地元事業者、小学生らと中央 通り周辺の落書き消し等の環境浄化活動に取り組みます。
今後の区の取組といたしましては、昨年から始めた、こうした四署連携による合同の環境 浄化活動を継続するほか、被害多発エリアには、落書き消し等の環境浄化活動の回数を増 やすなど、検討してまいります。 なお、区以外が管理する物件の落書きへの対応は、管理者の同意を要することから、事前に関係管理者と協議し、効率的な措置がとれないか検討してまいります。
政策経営部長/
小林議員の官製談合防止法違反事件に関する御質問にお答えいたします。
入札不正行為に関する再発防止対策有識者会議は、区が委嘱した弁護士2名、公正取引委 員会の元局長1名の、計3名の外部有識者のみで構成された第三者性の高いものとして適 切に設置され、専門的知見を生かした公正かつ中立な立場からの調査及び提言が行われて おり、報告書についても正当なものと認識しております。
小林議員/
自席より再質問します。
今、官製談合、弁護士ですけれども、これは先ほど指摘しましたけれども、利害関係者になりますので、利害関係者が入っているからおかしいと言っているので、それがおかしくないんだったら、ちゃんと説明してください。
あと、不登校ですけれども、教員が困っているんですね。 さらなる充実をするんだったら、医療者との連携を図るとかをしなくてはいけません。 専門医を派遣し、子供や保護者のケアを行うために、教育職員などにもアドバイスを提供 する。 教育と医療の連携を進めるべきだということです。
それから、SSRについては、モデル校は特定されたのでしょうか、お答えください。
VLPについては、オンラインフリースクールとかメタバース空間、こういうのがいいの でやってください。
落書きについてはホームページをつくってください。 ***にならないのであれば、最低、専用の対応するページをつくらないといけないと思 いますが、よろしくお願いします。
教育担当部長/
小林たかや議員の再質問にお答えいたします。
医療との連携、これは進めてまいります。 当然、連携していきます。
それと、VLPは、より子供たちの興味関心が持てる、利用しやすいものとなるよう検討 を進めてまいります。
それと、スペシャルサポートルームのモデル校については、現在、指定を検討しておりま す。
オンラインフリースクールについては、東京都の所管する本事業とは異なるので、難しい と考えております。
地域振興部長/
小林議員の再質問にお答えをいたします。
先ほども御答弁させていただきましたが、まずは区で、今後、落書き等に対する全般的な 考え方、そういったことを検討し、お示ししながら、掲載については検討してまいります。
政策経営部長/
ただいまの、小林議員の有識者会議における弁護士についての御質問
です が、第三者委員会の委員としての利害関係を有しないものとは、適法かつ適正な行政の執 行を確保するため、公正、中立な立場から対象事案につき、事実関係を把握、認定し、必 要に応じて意見等を形成し、これを報告することを目的とするという趣旨にふさわしい見 識を持ち、余談と偏見を排することができるものというふうに認識してございます。 いずれの弁護士の先生方も、これに該当すると考えましたので、問題はないというふうに 考えてございます。