令和5年第4回千代田区議会定例会一般質問

2023年11月29日に下記一般質問を行いました。

https://gikai-chiyoda-tokyo.jp/about/nittei/2023/index.html

 

〔小林たかや議員登壇〕

○19番(小林たかや議員)

令和5年第4回定例会におきまして、千代田区自由民主党として一般質問をいたします。

初めに、不登校対策としての居場所づくりについて質問いたします。

不登校の小中学生は、昨年度、過去最多の30万人を上回りました。前年度から5万人以上増え、増加のペースは加速しております。中学生では6%で、クラスに二、三人いる計算になります。長期欠席している子は、病気などを含めると41万人を超え、病気と分類された中にも不登校生は多くいるものと思われます。2017年施行の教育機会確保法で、学校への登校を強制せず、学校以外での多様な学びが認められたこともその背景にあると思われます。  不登校生の受皿は、NPO法人や民間のフリースクール等が担っております。文科省の調査では、自治体の教育センターの利用が約2万5,000人、自治体のオンラインの居場所や学習機会の提供が約1万人、フリースクール等の施設を約1万人が利用しています。しかしながら、不登校生や長期欠席者の増加のペースに居場所の整備が追いつかず、対策が遅れれば遅れるほど学習の機会が失われてしまいます。それがたくさんの親子に苦しい思いを強いています。

自治体として学ぶ権利を保障していくために、多様な選択肢を増やしていかなくてはなりません。東京新聞によると、こども家庭庁の審議会部会は、11月15日、不登校などの子どもの居場所づくりに関する指針の答申案をまとめた「居場所の多様化」を柱に掲げ、交流サイト、SNSなどオンラインの空間も居場所と認識し、子どものニーズに沿った居場所づくりを進める必要があるとしております。答申案では、不登校やいじめの件数が増加する中、居場所を持つことは生きていく上で不可欠と明記しており、児童館や公民館といった場所だけでなく、デジタル空間も居場所になると定義しております。居場所づくりに当たっては、子どもの意見を聞き、居たい、行きたい、やってみたいという視点に立って進めるべきだと強調しております。国や自治体による居場所づくりを推進することを責務とし、関連施策への反映を促していく方針を示しております。

さて、では、そもそも居場所とはどういうものでしょうか。どういうところが居場所としてふさわしいのでしょうか。全国こども食堂支援センターむすびえ理事長、湯浅誠氏は、居場所を下記のように考えています。私も同感なので、居場所と社会の関係を一度整理してみたいと思います。  広辞苑では、居場所とは「いるところ。いどころ」と説明されております。実体の用法においては多くの場合、人は居場所感を抱ける場所を居場所と呼んでいます。居心地のよくない場所は、現に自分がいる場所であっても居場所感を抱けず、居場所とは呼びません。居場所づくりには、「どこも」と「どこか」が両立した状態です。「どこも」とは、家庭も職場も学校も地域もこども食堂も高齢者サロンも、暮らしの中で過ごす様々な場所がどこもかしこも居場所になる状態です。AもBもという形で、より多くの人にたくさんの居場所がある状態を指します。「どこか」とは、それでも多くの場が自分の居場所にならないという事情を抱えた人はおりますから、家庭が駄目なら地域の居場所が、学校が駄目ならフリースクールが、リアルが駄目ならオンラインが、Aが駄目ならBという形で、どんな人にも少なくとも1つは居場所がある状態を指します。この「どこも」と「どこか」が十全に満たされたとき、私たちの社会は、全ての人がつながりを感じながら幸福に生きられる社会になるでしょうと指摘しております。

 

ここでお伺いいたします。そもそも居場所とはどういうものか。居場所があることの認識をどう考えているのか。

本区の不登校生の現状と人数や、どのような居場所で過ごしているか。区内においてどのようなところが居場所になり得るか。多様な選択肢はあるのか。本区の不登校対策と居場所づくりの目的は何なのか。区のご見解をお示しください。  では、不登校生の支援機関である適応指導教室(白鳥教室)があります。白鳥教室では、カウンセリングや授業を受けたり集団活動に取り組んでおります。同じ不登校の悩みを抱える友人と出会い、思いを共有できる居場所です。学校と連携し、適応指導教室に通所した日は学校の出席日とされております。一方、フリースクールは適応指導教室より柔軟で、学校復帰にとどまらない多様な可能性を模索した人の居場所になっております。現代社会において、フリースクールは教育と違うという固定観念はなく、不登校の子どもには、家にいて親が子どもを見るという時代から最近は変わってきています。

クラスではなくて保健室などの別室で過ごす子どももいますが、居心地がいいわけではなく、本当の居場所になっているわけではありません。学校内に居場所をつくれば、どの子が登校しているのか確認でき、児童生徒が登校していれば、気軽に声をかけたり、行ったり、学習指導もできたりするので、理想的です。時に自らクラスで授業を受けたりすることもあり、それが許される環境ができてきて学校全体が変わっていくのではないでしょうか。不登校の児童生徒が学校を身近に感じ、他の生徒も教員も不登校の生徒が身近にいることを感じることができるために、それぞれの成長につながると思います。現在、学校でスペシャルサポートルームは緊急避難として有効だと思っております。スペシャルサポートルームの設置について、学校の中に居場所をつくることは大きな意味があると考えております。  そこでお伺いいたします。

スペシャルサポートルームの現状と課題について、お答えください。

また、白鳥教室の現状と教育委員会が把握している課題は解決されたのでしょうか。白鳥教室の機能拡充だけでは学びの充実は難しい状況は変わっていないと思います。NPO法人や民間のフリースクール等と連携は進んでいるのでしょうか。お答えください。

現在は、不登校対策として、社会福祉協議会のふれあいサロンも重要な1つですが、福祉行政と教育行政の垣根が外せません。不登校児童生徒は、包括してフォローしていかなくてはなりません。個々ばらばらで、この連携が取れていません。将来、福祉施設と教育施設の境をつくらず、不登校生が気軽に立ち寄れる場所の提供が必要と考えますが、区のご見解をお願いいたします。 (スクリーンを写真画面に切替え)

文京区の中高生専用施設である青少年プラザ「b-lab」、ビーラボと、こういうふうな場所があって、冊子で出しています。b-labのように、中高生が自主的な活動を通じて自らの可能性を広げ、社会性を身につけた自立した大人へ成長を目指すための施設を設置している例もあります。文京区のb-labとは、中高生の秘密基地をコンセプトとした新しい放課後の居場所です。リビングのようなスペースや、勉強、バンド活動、ダンスのスポーツや料理ができるスペースがあるほか、文化、スポーツ、学習支援などのイベントを実施しています。さらに中高生がイベントの企画やb-labの運営に関わる挑戦のステージもあります。b-labは、文京区青少年プラザの愛称です。文京区教育センターに併設されて、施設の共用や事業の協力を行っております。

このように、学校内にフリースクール機能を置くことと、学校と家の間に白鳥教室やb-labのような施設を整備することで、総合的な不登校対策につながるのではないでしょうか。ご見解をお伺いします。

(ここまで、写真画面を15回切替え後、スクリーン表示を元に戻す)

最後に、居場所を増やすために、

①地域の実態調査、

②公共施設の活用、

③居場所を運営する人材の育成について、職業としての人材の育成について、こども家庭庁の審議会部会が有効だとした点についても、区としては進めてはいかがでしょうか。ご見解をお伺いいたします。

 

次に、富士見みらい館の今後についてお伺いいたします。

第2回、3回定例会及び会期中の予算・決算特別委員会では、来年度、富士見みらい館のPFI事業期間が満了することから、この間に行われたPFI事業の検証結果や次期運営手法の検討状況などをお伺いいたしました。その際、執行機関からは、PFI事業の検証結果について、主に設計、建設、維持コストなどの面で、VFM(バリューフォーマネー)が認められたと説明がありました。しかしながら一方で、PFI期間中の利用者の施設の利便性向上に関する要望対応や、安全確保を目的とした予防保全的な改修等の対応が十分でない例が見受けられております。区もこの点については、区として優先順位の高い予防保全や区民ニーズの反映は適切に行う必要がある。区の直営施設であれば対応することについては、PFI事業でも対応できるようにしておくことが必要と述べております。PFI事業では、事業者は必要以上のサービスを提供しないほうが採算が高まります。区が事業者に任せ切りでは、VFMの効果はあっても、サービスの質自体の低下は否めません。  こうした点から、PFI事業に維持管理上の課題はなかったのでしょうか。PFI事業期間に事業者が実施しているモニタリングを区が確認し、適時適切に対応してきたのでしょうか。区独自としても、四半期ごとに実施しているモニタリングは、区及び各施設、関係部署、事業者による毎月の運営協議会なども活用し、情報共有を図っているとしていましたが、その結果共有された課題について、適時適切、対応されてきたのでしょうか、それぞれ具体的にお示しください。

今般のPFI事業の検証では、維持管理の面からどのような検証結果が出ているのか。事業期間終了時のモニタリングについては、事業者と協議し、終了前検査の実施などについて検討するとの答弁がありましたが、改めてお伺いいたします。  また、次期運営手法については、当面大規模改修が予定されないため、(ベルの音あり)PFI手法を取らない方向で検討を進めているという答弁がありましたが、その後の検討状況をお答えください。  次に、富士見みらい館のPFIに関して定める区民開放の在り方の見直しが必要であると指摘させていただきました。PFI事業の意向を適切に反映し、サービス水準を向上させるため、区と事業者の責任範囲の明確化と運営段階における区の事業者におけるコントロール手法の確保は極めて重要です。これらの事業開始に関する整備を整理しなくてはならない留意点として、区の組織内部で共有していく必要があります。区が進めている民間開放の在り方では、区が民間開放を検討するときの視点に民間開放を含める留意点を示しており、PFIなどの手法を採用する場合には必ず留意すべき内容となっています。このため、民間開放の在り方について見直しを求めたところです。

(ベルの音あり)

その状況について……

○議長(秋谷こうき議員) 小林議員、質問をやめてください……

○19番(小林たかや議員)

答弁を求めます。  以上です。すみませんでした。(拍手)(発言する者あり)

 

〔教育担当部長大森幹夫君登壇〕

○教育担当部長(大森幹夫君)

小林議員の不登校対策のご質問にお答えいたします。  まず、居場所についてですが、一般論として、ご指摘の子どもの居場所づくりに関する指針(答申案)では、過ごす場所や時間、人との関係性全てで、物理的な場だけでなく、遊びや体験活動、オンライン空間といった多様な形態を取り得るとされております。

 

次に、居場所があることについては、自己肯定感や自己有用感に関わるなど、生きる上で不可欠な要素であると記載されているとおりの認識です。  不登校の現状ですが、10月末時点で、小学校28名、中学校・中等教育学校32名、計60名でございます。

どのような居場所で過ごしているか、居場所になり得るかについては、白書教室やスペシャルサポートルームを学びの場とする場合、またはフリースクールや家庭などで過ごされることもあろうかと思います。  多様な選択肢はあるか及び不登校対策と居場所づくりの目的については、白鳥教室の機能拡充、校内教育支援センターの設置、バーチャルラーニングプラットフォームの活用、フリースクールとの連携など、不登校児童生徒の多様な学びの場の確保、創出により、選択肢の拡充を図ってまいります。  次に、スペシャルサポートルームの現状と課題ですが、現在、小学校2校に設置され、教室に入りにくい子どもの学びの場として効果的に利用されております。課題は、設置する場所と人員の確保でございます。  また、白鳥教室の状況と課題ですが、10月末現在、27名の小中学生が登録し、適応指導員2名で常時対応しております。年々通室する児童生徒が増加傾向にある中で、スペースや人員、スキルの維持向上などが課題です。

 

次に、NPO法人やフリースクールなどとの連携についてですが、現在、区内フリースクールにおける活動内容の調査や他自治体のフリースクールの視察、研究を行っております。また、施設の境をつくらず気軽に立ち寄れる場所については、孤独や孤立を防ぎ、子どもの健全な育成の場として大切なものと認識しております。  フリースクール機能を置くことより、白鳥教室の機能拡充を図ってまいります。b-labについては、不登校対策としての施設ではないと認識しております。  最後に、ご指摘のこども家庭庁の審議が有効とした点なども参考に研究してまいります。

 

次に、富士見みらい館についてのご質問にお答えいたします。

まず維持管理上の課題についてですが、日常生ずる修繕や施設からの比較的軽微な要望への対応は問題なく行われているものの、さらなる利便性向上や予防保全的な改修などは、PFI事業者との協議や対応が十分でなかった部分についても認識しております。  次に、モニタリングについてですが、日ごと、月ごとなどの区分で、維持管理と運営、それぞれ160余りの要求水準に沿った項目について事業者モニタリングの評価が行われております。また、区のモニタリングについても定例会議などで情報を共有し、履行状況や不具合対応状況などを適切に確認しております。対応の具体例としては、受水槽からのオーバーフローや大雪に伴う施設内への浸水など、改善要求に早急な復旧、改善措置が図られております。  次に、検証結果についてですが、事後評価書では、担当者の異動などによる引継ぎ不足や習熟度などについての指摘を受けています。また、終了時モニタリング及び検査実施については、今後、協議、検討の予定でございます。

 

最後に、次期運営方法についてですが、施設の維持管理や地域開放及び給食は委託を前提に、児童館的機能は指定管理や民設民営などについて課題を整理しながら、現在検討を進めているところでございます。

 

〔政策経営部長古田 毅君登壇〕

○政策経営部長(古田 毅君)

小林議員の富士見みらい館に関するご質問のうち、民間開放の在り方についてお答えいたします。  現在、区の検討状況といたしましては、PFI事業者との契約に当たり、施設の維持管理に利用者の声を反映するための手続を定めること、さらに事業期間中に区が安全確保のための予防保全の必要性を認めた場合には、所要の措置を講じることができるよう取り組めることなどの要件を、民間開放の在り方に追加することを検討しております。