平成30年第2回定例会小林たかや一般質問
今回は「職員の定数と人材育成について」と「東京2020オリンピック・ パラリンピック競技大会開催に向けた観光資源の開発と緊急時の活 用」についての2問です。
先ずはじめに「職員の定数と人材育成について」お伺いします。
石川区政は、区長就任以来、人件費の削減を掲げてきており、千代田区行財政改革に関する基本条例により人件費比率を数値目標として設定とするなど、全国的にも珍しい取り組みを行い、職員給与費が財政を圧迫しないよう、一定の成果を挙げてきたとのことです。
すなわちそれは、人件費を削減し、その経費を区民サービスに振替え、
サービスの向上を図ってきたということです。
このことが功を奏したかどうかはわかりませんが、近年の財政状況、特に潤沢(じゅんたく)な基金残高などをみると、現在では区民サービスに振替えきれない財源が余剰となって基金に蓄えられたものとも見て取れます。
こうした中で、無理に人件費を抑え、区民サービスに振替える必要性は、今や薄れてきているのではないでしょうか。
また、最近の区政を取り巻く状況は大きく変化し、人口増に伴うニーズの多様化や公共施設の更新時期の到来による投資的経費の拡大から、予算規模が大きくなってきています。そのため、予算規模のうちの人件費の割合は当然に少なくなり、条例に掲げた人件費比率25%以下の目標は、今後とも安定的に保つことができると考えます。
このような状況の中で、真の住民サービスを図るためには、区民に直接対峙し、相談を受け、区民生活の問題を解決してくれる顔の見える距離感が取れる正規職員の層が厚いほど、結果的にサービスの向上につながるものと考えます。
そのためには、必要な職員数の確保はもちろんのこと、専門家の活用、職員の質の向上に関する問題や世代間のバランス、及びノウハウを継承していくことなどが重要なポイントとなってきます。
(スクリーン①)
ここで質問します。
① 現在の千代田区職員定数条例第2条に定めた各部局の定数の根拠・考え方についてのお答えください。
また、現在の実人員数との乖離の状況とその理由も併せてお答えください。
② 非常勤職員、派遣職員、臨時職員等、正規職員に加え様々な雇用形態により職員が構成されていますが、それぞれの役割と措置の考え方についてお答えください。
また、正規職員の役割は何であるか改めて認識をお答えください。
③ 千代田区職員定数条例に掲げた職員定数1080名は、来年度より見直すこととなっていますが、見直しの方向性について、お答えください。
条例を見直しても、募集から採用まで時間がかかるので、早急に取り組む必要があると思いますが、作業スケジュールを示してください。
また、人口が増えニーズが多様化する中、将来的に安定的な区民サービスの向上を図るため、業務量をどのように分析し、職員の量(人数)と質(人材育成)をどのように考えていくのかお答えください。
④ 職員の人材育成、質の維持確保については、団塊世代などのベテラン職員のノウハウの継承が重要なポイントとなると考えます。
区が本年9月に施行(しこう)する、退職管理制度に関する条例では、民間企業や外郭団体においてのノウハウ活用という観点があり、再就職先の透明性・公平性を確保することとしていますが、庁内での活用こそが大切なことです。
団塊世代の職員の大量退職に伴い、その世代のノウハウの継承に関する方策の検討はなされていますか。平成28年度決算審査意見書は今後10年で約340人の定年退職者が出ると指摘しされていましたがこれらへの対応は、具体的に何を行なってきたかお答えください。
⑤ このことが、私がかねてから指摘していた、ヒューマンエラーの防止にも大きく寄与するものとなりますが如何ですか。ご見解をお聞かせください。
(スクリーン①)
⑥ 前回、平成29年第3回定例会決算特別委員会質問で定年延長については、国の動向を鑑み検討するとの答弁に対し、基礎的自治体である千代田区は、国の動向などとは関係なく方策を講じるべきと申し上げましたが、その後の検討状況は如何ですか。
⑦ また、区民ニーズの多様化に伴い行政事務の専門性の向上も求められてきています。特にIT化への著しい進展に伴い、セキュリテイ確保と事務効率化の判断や指定管理者へのシステム運用の指導監督など、専門知識に長けていないと、こなすことができない部署もあります。
特別区の採用区分に無いことは承知していますが、専門職の雇用について、何らかの策を講じるべきだと考えるが、見解をお示しください。
⑧ 最後に職員数不足の問題は、新規採用数を増やして行けば良いという簡単な話ではありません。現在、管理職不足、係長不足が恒常的となっており
この原因は、一時期、数年にわたり新規採用を取りやめた弊害が、職員の年齢構成のばらつきとなり、年齢的均衡を欠いた状態につながっていると考えられます。
一方で、区では、職員のスキル向上のため職員派遣等を行っているが、人材不足では派遣にも出せない状況となっているのでは、ないでしょうか、
このような職員の年齢層、世代間のばらつきをどのように改善していくのか、何か方策はあるのか区の見解をお示しください。(スクリーン①)
次に
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた観光資源の開発と緊急時の活用」についてお伺いします。
東京都が策定した~都民ファーストで作る「新しい東京」~「2020年に向けた実行プラン」では、「集客力が高く良質な観光資源の開発」が謳(うた)われています。その中の「水辺のにぎわい創出」において、日本橋川・神田川のうち、多くの観光客が集まる場所において、水辺の景観形成を実施する、とあります。
さらには、「ニューツーリズムの推進」において、ライトアップによる街並みの演出等に関する情報を発信するとともに、東京のナイトライフの充実に役立つモニターツアーを実施するとあります。
一方、我が千代田区の「ちよだみらいプロジェクト」―千代田区第3次基本計画2015―)では、石川区長が冒頭、「今後、本プロジェクトに掲げた10年後の将来像の実現に向けて、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした取り組み等、様々な取り組みを着実に推進して」いかれる旨(むね)を述べておられます。
そして、プロジェクトの中で、「観光資源としての活用」として、万世橋周辺の整備で設置された船着場などを活用して舟運事業が展開され、水辺が魅力ある観光資源として活用されていると述べられ、「主な取組み」が具体的に示されています。
これらを考え合わせれば、まさに、大会開催を2年後に控えた今日(こんにち)、これを契機として、千代田区として
- 水辺の活用ライトアップによる街並みを積極的に演出する
- 都と東京のナイトライフの充実に役立つモニターツアーを実施する
- 船着場等を開放してコンサートを実施する。
- 神田川・日本橋川をモーターボートで聖火運ぶ等オリンピック委員会に提案する。
これらが実現されれば東京五輪に向けた機運醸成になります。
如何でしょうか。
また、観光資源にもなり得ます。
これからスクリーンで聖橋から和泉橋まで夜の風景をみてもらいます。
後で紹介する大坂の水辺のライトアップされた夜景と比べるとその違いがはっきり判ります。
(スクリーン②)聖橋 夜景
(スクリーン③)JRお茶の水鉄橋夜景
(スクリーン④)万世橋 夜景
(スクリーン⑥)大坂ダイビル本館 夜景
(スクリーン⑦)大阪市中央公会堂 夜景 ライトアップ
(スクリーン⑧)大坂中之島 ダイビル本館を望む水辺の夜景 ライトアップ
例えば、万世橋から聖橋辺りのライトアップを行い、そこに舟運を活用した、この区民やこの地域に宿泊する国内外のお客様を対象とした「夜の体験試乗会」などを東京都と実施するなど考えられます。
このことにより、千代田区の、そして秋葉原の新しい魅力を国内外に発信し、東京都の目指す「集客力が高く良質な観光資源の開発」にもつながるものではないでしょうか。
また、川が整備され観光資源として活用されているならば、神田川は、地震発生等で鉄道・地下鉄・道路が麻痺した場合でも、代替手段として利用出来ることになります。
この度、大阪で発生いたしました地震後の光景が、報道各社により放送されておりましたので、皆さんもご存知かと思いますが、タクシー乗り場に列をなし、何時間も待たされた挙句、乗車しても交通混雑で目的地まで何時間もかかってしまう。そして、大勢の方が列をなして歩いている姿は、かつての東日本大震災の際に、家路を急ぐ多くの人々が道路にあふれていた映像と重なります。このような際には、ご協力を仰(あお)げる舟運業者の方と予(あらかじ)め協定を結び、浅草や日の出といった桟橋まで運航していただければ、大勢の方の帰宅の際の負担が緩和されます。勿論、和泉橋船着場を利用する場合は、和泉橋出張所を拠点にして事前に舟運業者と連携して、乗客の整理誘導といった捌(さば)きを行う。観光で船を利用する時も災害時も受付的な役割を区が担えば安心して安全な運航が可能になります。
この様な仕組みを構築することは、この地域に勤務する方々だけでなく、この地を訪れる多くの人々に安心感を与えられ、ひいては、こういった緊急時に対するシステムがあることで、この地域のステータスがますます上がるのではないでしょうか。
まさに、防災桟橋を観光資源として代替利用出来れば、一石二鳥と思いますが区のご見解を伺います。
上記の点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め質問といたします。