平成27年第2回定例会 小林たかや一般質問 全文
6月19日(金)にたかやの質問を全文掲載します。(録画とは一部違います。)
H27年第2回定例会にあたり3点について質問いたします。
先ず始めに昨日来、多くの議員が問題提起している
「路上禁煙条例の問題点と公共喫煙所設置の必要性について」質問されて頂きます。
路上禁煙条例(罰則付き条例)制定後、今年の10月で13年になります。
「ポイ捨て」や「歩きタバコ」には一定の成果を上げて参りました。
しかし、これらの成果の反面もっとも根源的で大きな課題も生じています。千代田区が路上禁煙条例導入後、タクシーやJR駅を初め公共スペースが全面禁煙になり、職場でも禁煙が強化されました。喫煙者が行き場を失い、昼食時ともなると、喫煙が禁止されていない公園やたばこ販売店付近の路上、駐車場が喫煙者で占拠状態になるケースも出ています。喫煙所の近隣住民や子どもの遊具がある公園では苦情も出ており問題が益々深刻化しています。
公共喫煙所の絶対数の不足により、喫煙者が公園や公園併設の公共喫煙所に集中し区民や子どもたちに多大な影響を与えて様々な苦情が発生しているわけです。
新しく改修された公園には喫煙所が併設されていますが、喫煙スペースをガラスの柵で覆っただけのもので許容量を超える煙に対し浄化能力はありません。保育園に近い公園は、ほとんどそのすべてが私立保育園の代替園庭になっているため、子どもや保護者にとって受動喫煙は深刻な問題になっています。芳林公園の喫煙所は秋葉原という立地上喫煙者の過度の集中によって隣接住民の生活を害している状態です。昨年議会に近隣住民から「芳林公園喫煙所の廃止または整備を求める」陳情が提出され前環境文教委員会で審査され全委員一致で対応を行政に求めましたが、対応はされず結局のところ陳情者は、生活することが困難と判断して今年の3月にとうとう引っ越してしまいました。後に転入された方も同じ環境におかれたまま我慢して生活を続けています。先日、前回同様の「芳林公園喫煙所の廃止または整備を求める」陳情が近隣住民より提出されました。この陳情をみても、対応が後手になり有効な対策が出来ていないのではないでしょうか。
私は、この状態は、千代田区が憲法第二十五条の生存権を侵しているのではないかと思えて仕方ありません。 生存権とは、人間が人間らしく生きるのに必要な諸条件の確保を要求する権利のことであり、人間が人間らしく生きる権利のことです。国家・政府の方には、国民に人らしい生活を保障する義務があるのです。
千代田区は、喫煙所により近隣住民の生活を害しているが憲法に保障された生活権の侵害に当たらないでしょうか。
この状態をどのように考えているのか区の見解を求めます。
また、昨年東京中央たばこ商業協同組合から「千代田区における喫煙所の絶対数不足解消に向けた改善を求める陳情」が提出されました。海外のお客様に向けた「おもてなし」の一環として重要な指摘であり早急に抜本的改善を求められました。
公園の喫煙所は、子どもや保護者に対する受動喫煙の恐れと喫煙所の近隣住民の生活権の侵害というダブルパンチで被害を与え続けることになります。
早急に適所に複数の喫煙所を設置し、喫煙所の周知徹底することは喫緊の課題です。
では、現在どんな対策が行われているのか。千代田区は昨年喫煙対策に関する調査を実施しました。具体的な対策としては民間喫煙所の設置基準緩和と助成金の拡大を行い民間の喫煙所設置の新設と改修をやりやすくしました。
議会では、前環境文教委員会が現場視察して、現状を把握し委員会として区に改善を申し入れました。課題は、対策する担当と実際の施設改修する部署が違い組織がまたがっていて直接対策が出来なかったのですが、現状の組織でもまだやれることが沢山ありました。
しかし、本来喫煙対策は組織上、安全生活課と道路公園課が一緒にやるべきものです。今年度、組織改正で安全生活課の所管を道路公園課と一緒の環境まちづくり部なるべきでしたが、ハード的な対応が出来ない今まで同様の地域振興部に移しただけでした。
組織対応を考えていない組織改正になってしまった。隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があります。靴の上から足のかゆいところをかくような組織になってしまっています。
昨年、区の喫煙者動向調査では、喫煙者は身近なところに喫煙所があるとわかれば、必ず立ち寄るという結果が得られました。この結果は、喫煙所をある一定の間隔で設置し絶対数を増やして分散化することで有効な対策が出来ることを意味しております。
この結果と結論、対策について、どう考えるか区の見解を求めます。
最後に私は、次にあげる8つの対策が有効であると考えますが区の見解をお伺いします。
1. 喫煙所の絶対数を増加されるため公衆トイレの屋上や2階建等も考慮し喫煙所を設置する。公衆トイレの周辺で適地に整備する。
2. 秋葉原の有料トイレ「オアシス@akiba」方式のように区道上に設置可能な場所を選択し設置する。
3. 現在設置されている公園の喫煙所は、単なる間仕切りだけなので近くを通過する人や公園で遊んでいる人の受動喫煙になる。間仕切りを改造し最新式の空気清浄機を設置し煙が外に漏れないように工夫する。
4. 保育園の代替園庭は、公園利用を制限する。
5. 公園を時間限定で全面禁煙にする。
6. 公園を子どもの利用する時間帯に合わせて喫煙トレーラーハウスを設置する。
7. トレーラーハウスは固定式でなくても移動式で土日休日の人の集まる時間や場所に配置する。秋葉原などには、移動喫煙トレーラーハウス設置する。
8. 喫煙所の場所を示す表示板・マップを設置・配布し喫煙者に喫煙所の周知徹底する。
次に
「区立幼稚園園児の定員超過による問題点と対策について」お伺いします。
千代田区の2歳児の人口がH27年4月1日、住民基本台帳上569人と前年比の431人を138人も大きく上回っています。
この傾向は、1歳児0歳児の人口動向をみると2、3年は、続くことが推測できます。6月1日現在では、0歳児は614人となったところです。
2歳児の人口569人か3歳になり区立幼稚園に入園できる可能数を割り出すと
来年、保育園の3歳児(区立及び私立認可保育園、幼保一体施設)に入園する園児数は、現時点の2歳児200名が繰上り、現在の3歳児の定員198名からして保育園では3歳児を増加させる余裕はありません。
幼稚園では3歳児の定員増を含めた園児数が226名で単純計算すると143名程度が私立幼稚園か認証保育園に行くものと考えられます。しかし、千代田区では区内の私立幼稚園には行きにくく、この数字は全員がどこかに入園できる数字ではありません。既に今年、地元の幼稚園に入園できない事態が発生しており、来年度は、もっと多くの区立幼稚園で定員オーバーとなり、各園とも抽選になってしまう状況が考えられます。
今年度ふじみこども園では、定員20名に31名の応募があり、定員増で25名まで受け入れましたが定員超過で抽選が実施され九段幼稚園に5名千代田幼稚園に1名入園しています。千代田幼稚園では、この影響で学区外の申込者1名は入園できない結果となりました。
幼稚園は、小学校と同様に学区域が設けられており他の学区への通園は、幼児の立場から簡単に変更することは難しく、これまで幼稚園教育は、地域を生活基盤として幼児を学習し地域で共に保育し地域が育てて行くという方針であったはずですが、ここ数年で見直しをせざるを得なくなってくるのではないでしょうか。
区は、今まで保育園の待機児童ゼロの実現を目標に子育て計画を立ててきました。
なぜ、幼稚園問題がなおざりにされ対策がとられなかったでしょうか。
保育園の待機者同様の深刻な問題です。
幼稚園の定員超過問題は、今後さらに事態は深刻化します。区はこの状況をどのように受け止めて如何に対応するつもりですか。
先ず、この点について区のご見解をお伺いします。
さて、現状では、幼稚園各園とも広さや教員採用問題で簡単に定員の定員増ができません。そもそも職員定数条例の1,080人と行革条例の人件費率25%に縛られて職員補充はできず、仮にすぐに動いたとしても対象となる幼稚園教員をパートアルバイトの補助職員として簡単に雇用することができる現状にはありません。この条件では採用することは難しいはずです。
ここで質問します。
区として、幼稚園の定員増加可能数を至急現状調査して実現可能数を算出するとともに職員確保のために職員定数条例の1,080人と行革条例の人件費率25%を見直すべきです。定員を今まで以上に増やさない限り特効薬はないはずです。区のご見解をお伺いします。
最後に
外国人の食習慣に適切に対応する「食のおもてなし」についてお伺いします。
2014 年の訪日外国人観光客は 1341 万 4千人、消費金額は 2 兆 305 億円に上り、 これらは、いずれも過去最高を記録しております。政府もインバウンド観光客を増やすための様々な施策を行なっており、千代田区でも秋葉原地区を中心に多くの外国人観光客が訪れています。しかし、多様な国から外国人観光客が来訪するようになった現在、外国人に対する“食のホスピタリティ”「おもてなし」が問題になりつつあります。
具体的には、主義、宗教等の違いにより、菜食主義である“ベジタリアン”、より厳密に卵、乳製品、蜂蜜なども摂取しない絶対菜食主義である“ビーガン”、イスラム教 の教えに基づき、豚・アルコールなどを摂取しない“ハラル“食しか食べられない方々など、様々な食の習慣を持った外国人の方々がいます。
日本人にとってムスリムやビーガンなどの食習慣は、一般的になじみの薄いものですが、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向けて、食を通じて異文化間で互いの文化を理解する努力を行い、交流を深めることは重要です。
これらの外国人の方々は、ネットなどの限られた情報の中で、自ら努力して食べられるものを探しているのが現状です。このような方々を対象に適切に情報を提供することは、千代田区に来訪してくれた外国人に対するホスピタリティ向上において重要と考えられます。特に外国人観光客が集中する秋葉原地区以外のエリアにおける、飲食店や商店街等の情報を提供することで、新たな集客が見込めます。
国や地方公共団体でも、様々な取り組みが始まっています。千葉県議会では平成 25 年 10 月 22 日に「海外観光客誘致のためにハラール推進を求める意見書」が可決、農水省でもハラール認証取得の助成を行うなど、外国人の食習慣に適切に対応する“食のホスピタリティ“への関心が高まっています。
一方、特にハラールに関して顕著な問題ですが、認証機関が乱立しムスリムの方々にとって、分かりづらい状況が生じています。日本には有力なハラール認証機関は六つあると言われていますが、認証は東南アジア各国の認証機関が管理しているため、日本の認証機関がどこの国と相互認証を取っているかを明確にする必要があります。
千代田区でも保健所では、日頃、食品衛生事業は勿論のこと、食育や食品表示、健康づくり協力店事業などに積極的に取り組まれておられます。また、料理飲食業組合や食品衛生協会との連携も密にしておられます。
そこでお尋ねいたします。
1. 千代田区において外国人の食習慣に適切に対応する“食のホスピタリティ”「おもてし」に関して検討したことはありますか、今後検討する予定はあるかお答えください。
2. 外国人観光客や地域の商店街、有識者や民間事業者等を交えて継続的に情報交換、 調査、検討を行い、千代田区として「外国人の食習慣に適切に対応する“食のホスピタリティ”」に対する具体的な指針をまとめる研究会の設置を検討しては如何でしょうか。
3. 墨田区と江東区、中央区の商店街連合会が「ムスリム食のおもてなし」ガイドブックを作成して地元の飲食店の方々に配布したとのことですがこれら近隣区との連携をとっては如何ですか。
上記の点について、区長並びに関係理事者の明快な答弁を求め質問といたします。
(参考)海外観光客誘致のためにハラール推進を求める意見書 (千葉県議会意見書:平成 25 年 10 月 22 日可決)
日本の観光産業を発展させるために、海外からの観光客誘致を抜きに考えることはできない。以前であれば、隣国である中国や韓国からの観光客が増加の一途をたどっていたものの、昨今は我が国との関係悪化から両国よりの来日客数が停滞しており、他の地域から呼び込む必要性が生じている。とりわけ、東南アジアは比較的日本に近く、かつ国民の所得向上が顕著なことから、日中、日韓の関係が悪化した後から、新たに観光客を呼び込むターゲットとして有望視されてきた。
ところが、東南アジア諸国の中でも、近年来日客数の増加が目立つマレーシア、インド ネシアは戒律が厳しいイスラム諸国であり、これらの国から見た日本は慣習の違いから 「来にくい国」との印象が持たれている。とりわけ、豚やアルコールなどの禁止を初め 食についての戒律が厳しく、来日する上での障壁としてそびえ立つ。
これらの国々からビジネス客、観光客が気持ちよく来日してもらうために、イスラム法 上で食べることが可とされるハラールに配慮することが重要だ。両国のみならずイスラ ム教徒は全世界で 16 億人いると推定され、東南アジアに限らず潜在的な来日客は膨大 と見られることからも、将来を考えてハラールを推進するべきである。
千葉県がハラール食のメニュー開発に取り組むなど全国各地でハラールに配慮した動きが出始めたが、2020 年の東京五輪・パラリンピック招致決定を踏まえれば、観光客 誘致の動きが活発化することは必至で、ハラールの重要性が高まっていくことは想像に かたくない。成田空港を擁する玄関口であり、観光産業において「おもてなし」を強調 している千葉県がハラール推進を発信する意味は大きいと考えられる。
よって、マレーシア、インドネシアを初めイスラム圏からの来日客を増加させるために、 ハラール推進を政府の観光客誘致の施策として実行することを求める。
以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。
【提出先】総務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣、国土交通大臣